“静かな自己主張”

EXUS Lens Protect TOUGHNESS
Limited Edition

写真家　今泉真也

2022.03.07

70周年を迎えた国内フィルターメーカーのMARUMIさんから、光栄にもアニバーサリーエディションの保護フィルターをいただいた。愛用させていただいている最強フィルター「EXUS Lens Protect SOLID」のTOUGHNESSバージョンだという。凝ったつくりの化粧箱をあけると、代表取締役の丁寧な挨拶文とともに、フィルターが姿を現した。

常々感じていることだが、保護フィルターとはなんと目立たない存在だろう。自己主張するでもなく、淡々とレンズに、撮影者に、いつも寄り添っている。しかしその実、一番最初に被写体からの光を受け止める存在である。

今回のTOUGHNESSは、定評のある高強度のSOLIDをベースに、フィルター外周へシリコンを装備した。机の上や野外の地面など、フードがない状態でレンズを置く場合には衝撃が光学系に伝わらないように気を遣うことがある。それが緩和されたと同時に、取り付けと取り外しの際に指がかりがとても良くなった。シリコンなので寒冷地でも扱いやすくなっていることだろう。

また外周のシリコンゴム一体成型加工にともない、フィルター銘は正面に刻印されている。正面にレンズ銘がない場合には、MARUMIの刻印がこのレンズの顔になるということだ。これはふだんは地味な保護フィルターの静かな自己主張ともいえ、どこかうれしい気分になった。

このフィルターが届いてからさっそく奄美大島での10日間のロケに携行した。早朝から夜中の26時27時まで時間との勝負のような撮影が続くなか、やはりこのLimited Editionも絶大な安心感をもって仕事を支え続けてくれた。

EXUS Lens Protectを使い始めてから、僕はレンズキャップをする機会が減ったこともここで報告しておきたい。撮影に即入るのに少しでもアクションは少ないほうがいいが、カメラザックの中へキャップをせずに投げ入れて、また取り出して、を何百回と繰り返しても、傷が本当につかないのだ。レンズが雨風に打たれて泥水にまみれても、ひと拭きすればすぐ撮影に入ることができる。

MARUMIのフィルターは信州の小さな工場から生まれている。これからも小さな会社の大きな挑戦を楽しみに、現場で愛用していきたいと思う。

REPORTED by
今泉真也　Shinya Imaizumi
https://www.instagram.com/shinya_imaizumi/?hl=ja

写真家、映像作家。沖縄国際大学で民俗学と沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、撮影活動を始める。シーカヤックから冬山登山までアウトドア全般をこなし、一貫して琉球弧から人と自然のいのちについて発信を続ける。近年は企業・行政の映像制作も行っている。写真集に「神人の祝う森」がある。日本風景写真家協会会員。