DHGレトロソフトフィルターの表現世界1
2021.02.10
Saudade / Cinema・Nostalgic
–DHGレトロソフトフィルターの表現世界–
Saudade(サウダージ) と
Cinema・Nostalgic(シネマ・ノスタルジック)
いま人気の「シネマ調エモーショナル」な表現手法において、この2つをキーワードに
マルミDHGレトロソフトフィルター
が持つ、豊かな表現の潜在能力について紹介して行こう。
Chapter 1
Saudade / サウダージ
まずはこれを覧いただきたい。モバイルで視聴されている方は是非ヨコ画面にしてご覧いただきたいと思う。
Title : Saudade/サウダージ
©Joe Asada
ご覧いただいたのは、映像作家・写真家でありミュージシャンでもある、浅田 譲による、DHGレトロソフトフィルターのための撮りおろしムービーである。
無論、DHGレトロソフトフィルターを使用して撮影されている。音源もオリジナルだ。
“サウダージ”を映像テーマとする浅田 譲にとって、DHGレトロソフトフィルターの、シネマのような優しい手触りが、彼の映像表現と感性にぴたりとハマったのだという。
サウダージとはポルトガル語で、敢えてひと言で表現するならば「郷愁」を意味する。しかし、かの小野リサによれば、適当な日本語訳がないのだそうだ。
ラテン文化独特の、今はないものや過去の思い出に対する、狂おしいばかりの懐かしさ、少し甘くほろ苦く、切ない程のアンニュイさなどが「ないまぜ」になった感情、という事らしい。
実際、ボサノバの歌詞にもこの単語はよく登場する。それほどまでに、サウダージとはポルトガル語を母国語とする者にとって魂に刻み込まれた言葉なのだ。
そんな心の奥底を、浅田 譲は映像と写真で情感豊かに表現する。
オトナの恋のほろ苦い思い出。そんな彼女のサウダージ…オトナ・ノスタルジックである。
浅田 譲は言う。
心の奥底にある感情って、必ずしもクリアなイメージではないと思うんです。
サウダージも同じです。少し胸に突き刺さるところもあるが、それほど明瞭度の高いイメージではない。心のどこかで、大切に優しくベールで包んでいるものです。それを映像に表現できるフィルターを、ちょうど探していたんです。
今回、DHGレトロソフトフィルターを使ってみて改めて気付いたのは、ある種の曖昧さや、シネマのように包み込むような柔らかさが加わることによって、僕のイメージに合ったサウダージがより明確に、映像として表現できたという事です。
サウダージに象徴される、あのやるせなさや切なさ、胸がぐっと締め付けられるようなノスタルジーが、DHGレトロソフトフィルターを介して、心象風景としてのリアリティーを持った映像として表現できるのだ、と彼は言う。
「これからの僕の写真・映像表現に欠かせないフィルターだと考えています。」
Chapter 2
DHG レトロソフトフィルターについて
DHGレトロソフトフィルターの、光学フィルターとしての側面について少し触れておきたい。
DHGレトロソフトフィルターのガラスの表面には特殊な処理を施して不規則な凹凸をつけてある。
これが光を屈折させ、特有の軟調効果をもたらす。
マルミ以外には見当たらない、ちょっとレアなソフトフィルターだ。
軟調効果はさほど強くは無いが、甘すぎず、しかしシネマのような優しい手触りで、どんな被写体でも受け入れる懐の広さを持っている。
実際、マルミの社員にも付けっぱなしにしている者も多い。
すでにお分かりの通り、シネマ調・オトナ・ノスタルジックな世界観に加え、ハイキーでポップなトーンでも表現力は変わらない。
また白くなり過ぎないので、逆光でも躊躇なく使えるところが良い。
色調を変える効果は無いが、その分押しつけがましさはない。色調は、あくまでもクリエーターのセンスに任せる部分だからである。
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without Filter
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with Filter
新緑や日中の陽光の下では、空気のきらめき感すら表現する。
白くなり過ぎないので、逆光でも積極的に使いたくなる。またコントラストを適度に落とすので、ダイナミックレンジを広げる効果もある。
また、例えば春、桜を撮影すると、ソメイヨシノ全体がきらめきを纏うように写る。
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without Filter
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with Filter
Chapter 3
Cinema・Nostalgic /シネマ・ノスタルジック
最近流行っている、いわゆるエモい色調の色味、これをどう理解し、どんなキーワードで表現しようかと、浅田と議論してみた。
モダン・クラシック?
レトロ・モダン?
レトロやモダンなんて言葉、今どきの若者には刺さりませんよ。
シネマ・クラシック?
確かにシネマ調やクラシカルな色味がもてはやされている感はありますね。でもシネマ調やクラシック調にすることが目的ではないはずです。もっとこう、何かを得るための手段としてのシネマ・クラシック調なんだと思います。
シネマ調やクラシック調にすることによって皆は何を求めているのだろう。
それはサウダージにも似た、心揺さぶる何か…。敢えて言えば、ノスタルジーではないでしょうか。
そうか、心揺さぶり、揺さぶられたいのかな、みんな…
こうして、第三章のキーワードは「シネマ・ノスタルジック」に決まった。
ノスタルジックなテーマを、シネマ調の映像・写真をもって、皆さまの心に揺さぶりをかけよう…という魂胆である。
Title : I make wishes talking to the sky.
©Joe Asada
ご覧いただいたのは、ふたたび浅田 譲による、DHGレトロソフトフィルターのための撮りおろしムービーである。
無論、DHGレトロソフトフィルターを使用して撮影されている。
音源もオリジナルだ。くどいようだが、モバイルで視聴されている方は是非ヨコ画面にしてご覧いただきたいと思う。
ムービーのタイトルは、
I make wishes talking to the sky.
ムービーの最後に歌われているフレーズだ。
“空に向かって話ができますように”
このフレーズが、ムービーのストーリーの全てを語っている。空にいるけれど、もう会えない人たちとの思い出
それらを一つ一つ紡ぎながら、思う。
「もう一度お話ができますように。」
やるせなく、美しいノスタルジー。
一口にノスタルジーといっても、簡単には写真の中に凝縮させることはできない。まずはテーマ。それに沿った光の状態、構図、そして登場人物の表情やプロットなど緻密な構成・コミュニケーション(プードルの”ニッキくん”が全編にわたっていい演技をしていることは見落とせない)があって、初めてノスタルジックな表現の基礎ができる。
そして、DHGレトロソフトフィルターを使って湧き上がる感情を、シネマのような優しい手触りで包み込むように撮影し、最後は自分のイメージするシネマティック・ノスタルジックな色調補正をして仕上げてゆく。
ノスタルジックな色調は何も暖色系ばかりが全てではない。ホワイトバランスを敢えて寒色系に振ることで、染み入るような夜の静けさを表現できる。そこにDHGレトロソフトフィルターがいい仕事をしている。冷たく肌に刺さる光を、程よく包みこむ、優しい光に変える。
このようにして、浅田の写真は、一枚一枚がストーリーテーマに沿って「優しい手触り」と豊かな「感情」を伝えてくる。
浅田 譲
映像作家 / 写真家 / ドラマー
1980年大阪生まれ 神戸市在住
ミュージシャンとして活動する傍ら、ミュージシャンやダンサーのMV制作、アパレルブランドのイメージPVなどで活動の幅を広げる。“サウダージ”をテーマに、幻想的でエレガントな美しさの中に、切なさと温もりを感じさせる、独自の映像表現を得意とする。
2013年 ARTFreelance EDITOR`S CHOICE AWARD受賞
2019年 第9回「ICT(愛して)とくしま大賞」 STNet賞
2020年 三木フィルムコミッション 第5回 CM MOVIE CONTEST 優秀賞
2020年 LUMIXクリエイティブコンペティション 優秀賞
●WebSite
http://saudade-film.com/
https://www.joeasada.com/
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楽曲提供 : Nagipan
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https://youtu.be/YzKPtfD7ou0